交通事故にあったとき、加害者側にあたる場合は、任意保険(自動車保険)に加入していることが多いでしょうから、保険会社の担当者が交渉にあたってくれますが、被害者側にあたる場合には自分で交渉しなければなりません。 しかし自分でl交渉するといっても知識や経験に乏しく、大変なことです。
そのうえ保険会社が提示する賠償金額は裁判所で認められている賠償金額よりも低額になるのが一般的です。 保険会社は会社内部の保険金支払い基準にしたがって賠償金額を算定するからです。 死亡事故の場合や、重度の後遺症が残る事故の場合には、数百万円あるいは数千万円の差がでることもまれではありません。 また事故ごとに問題となる点が異なってきます。 例えば、事故当時、無職で収入がなかったり、または収入が不安定であったりしたときには、被害者側は平均賃金をもとに請求してくることがありますが、加害者側(保険会社側)は平均賃金を得られる見込みがないとして、より低額な収入を主張してきて、将来の収入をどうみるかが問題となります。
これらの観点からしますと、弁護士に交渉・裁判を依頼する方が、弁護士費用を負担しなければなりませんが、経済的に得る利益は大きいといえます。
弁護士費用は、私の場合には着手金が一律10万5000円(消費税を含みます)で、成功報酬は、保険会社の提示額があるときには、それを超える部分についての25パーセント、保険会社の提示がないときには、得た経済的利益全体の15パーセント、及び消費税としてます。
損害額(賠償金額)の算定方法を、死亡事故の場合を例として挙げておきますので参考にして下さい。 なおできるだけ簡略にしてあります。
<例> 死亡事故の場合
1、葬祭費
死亡により葬儀をしなければならなくなったことに要する費用(損害)です。 一定
の範囲で定額化されており、130万円から170万円の範囲で死亡者(被害者)
の社会的地位によって決められます。 また場合によっては墓石建設費や、仏壇
購入費も認められることがあります。
2、死亡による逸失利益
生きていれば将来得られたであろう収入(利益)も損害となります。 これは次の
計算式で求められます。
基礎収入 × (1−生活費控除率) × ライプニック係数
基礎収入とは原則として、事故当時に得ていた現実の収入額をいいます。 場
合によっては平均賃金を用いることもあります。 (1−生活費控除率)とは生きて
いれば生活費がかかったのに、死亡したことにより生活費の支出を免れたため、その
分を損害から引くことになります。 生活費控除率は死亡者(被害者)の社会的
地位により異なり、一家の支柱であった場合には30〜40パーセント、女性の場
合は30〜40パーセント、男性単身者は50パーセントとされています。 なお、
年金生活者の場合には生活費控除率がさらに高くなるのが普通です。 ライプニ
ック係数をかけるのは、将来の収入は1年ごとあるいは1カ月ごとに生じるのに損
害賠償請求をする場合は、その時点で全額をもらうため、中間利息を控除する
必要があるからです。 具体的なライプニック係数は、就労可能年齢である67歳ま
での年数に応じて決められています。
3、死亡による慰謝料
死亡による精神的苦痛も損害として請求することができます(死亡者(被害者)
が死亡する直前に生じた損害を、死亡により相続するという構成をとっています)。
具体的な慰謝料額は、多くの裁判例をもとに、一定の範囲で定額化されてい
ます。
一家の支柱の場合には2700万円から3100万円の範囲で、一家の支柱に
準ずる場合には2400万円から2700万円の範囲で、その他の場合には200
0万円から2400万円の範囲で決めることになっています。
そのほかに家族固有の慰謝料も認められることがありますが、慰謝料の合計額は
死亡による慰謝料額とかわらないのが普通です。
4、弁護士費用
認められた損害額(賠償額)の1割相当を、弁護士費用として、加害者に請求
することができます。 1割相当を超えた弁護士費用は依頼者の負担となります。
よく保険会社の提示額以上のお金が欲しければ、弁護士費用を払って、弁護士に頼みなさいと助言されることがあると思いますが、適正な賠償額を求めるという意味からも、弁護士費用を負担しても得る経済的利益の方が大きいという意味からも、交通事故にあった場合には、弁護士に相談されることをお勧めします。